ブラックユーモア好きにおすすめ絵本「自殺うさぎの本」

自殺うさぎ

衝撃的な絵本

イギリスって、ブラックユーモアに寛容な国ですよね~。
マザーグースしかり、エドワード・ゴーリーしかり。
ちょっと日本だと眉をひそめられてしまうようなことも、さらっと笑いにしてしまう。
でも私はそういう笑いが好きです。

そんな私が、確か10年くらい前に、何かの雑誌でこの絵本のポストカードが読者プレゼントになっていたかなにかで見かけて衝撃を受けたのが、この絵本。

「じ、自殺うさぎ!?うさぎが自殺するの?しかもいろんな方法で?
・・・これは買うしかない。」

と、すぐさま購入しました(笑)。タイトルがあまりにもツボだった。

作者について

作者はイギリスの漫画家のアンディ・ライリー(Andy Riley)さん。
ここまで毒のある内容はイギリス人らしいなと思っていたところ、やはりそうでした。
日本語での情報がほぼなかったのですが、英語でTwitterのアカウントをお持ちなのと、個人のサイトをお持ちのようでした。1970年生まれで、脚本もお書きになるようです。
(私の乏しい英語力ではこれが限界…泣)

出版されているタイトル

①「自殺うさぎの本 むやみに死んじゃううさぎたち」
②「またまた自殺うさぎの本 まだまだ死にたいうさぎたち」
③「たぶん最期の自殺うさぎの本」
の3冊が発表されています。いずれも青山出版社から。
おそらくタイトルからするに、これ以上の続編はなさそうですね(残念)。

内容・構成

内容は至って単純。
うさぎさんが、あらゆる方法を使って死のうとする絵がひたすら続くのみ。
よくこんなに色々思いつくなぁと、その発想力に脱帽です!

その方法は、単独行動あり、集団によるコンビネーションあり。
ありとあらゆる危険物に自ら向かっていきます。
時には(というより割と)綿密な計算のもと、装置を自作し、その動きによって死に至る。

あのー、なんでそんなに回りくどいことするでしょうか。
むしろその方が怖さ倍増じゃない!?

みたいなことばかりやってます。しかもミッフィー感のある超おとぼけフェイスで淡々と。
(死んだときだけ目がバツになりますが、そのほかほぼ表情が変わりません。)
一体なにが君たちを死に向かわせるのか!せっかくかわいい見た目してるのに!

しかし、その気持ちはご本人(ご本兎)たちにしかわかりません。
我々は無力にも、彼らが本願を達成するのを見届けることしかできないのです。

どんな方法を取っているのか

著作権があるでしょうから、中身をアップできませんが、ざっくり次のような内容が多いです。

○危険物に自ら向かっていく
(先のとがったもの、熱いもの、工具、毒物、電気、重いもの、車両、etc)

○動くものに刃物や自らを取り付け、それが動いた結果死に至る
(潜水艦にとりつく、エスカレーターの手すりに刃物をとりつける、柱時計の時計にひもをくくりつけ、一方を自分の首に巻く、etc)

○殺されるもの、刺されるものに自ら擬態する
(復活祭前の七面鳥、ハロウィン前のかぼちゃ、etc)

○わざと人や動物を怒らせて自分を殺すよう仕向ける

 私が個人的に好きなのは、
・ノアの箱舟に乗り込む人たちを後目にくつろぐ
・発射直前のロケットのエンジンの下にスタンバイ(しかもご丁寧にすべてのエンジンの下に1匹ずつ)
・地雷の埋められている地域で集団ホッピング
などです。

ネガティブさとブラックユーモア

なぜ自分がこんなにもブラックユーモアに惹かれるのかとあらためて考えたときに、的確に言葉にするのは難しいですが、おそらく一般的にタブー視されている物事に違う角度からスポットライトを当てることで、意外性が生まれておかしみを感じるからではないでしょうか。
普段タブーに対して真面目に考えているネガティブな人ほど、その落差に面白みを感じやすいのかもしれません。

ちょっと現実の世界に疲れてしまっているあなた、あっさり死ぬうさぎたちに癒されてみませんか。