目を背けてはいけない… 河合雅司「未来の年表 業界大変化」

こちらの本を読んだきっかけ

日々生活していると、嫌でも“少子高齢化”というワードを耳にしますよね…
私は33歳なので、今は一応若者の部類に入るかもしれませんが、いつかは必ず年を取るわけで、無事に生涯を終えられるのか、いつも不安を感じています。

少子高齢化によって今後どのようなことが起きる可能性があるのかを知ることで、これからの行動をよりよい方向に変えられるのではと思い、購入しました。

概要

人口減少日本で各業種・職種や公共サービスに何が起こるのか?
実人数が減り消費量が落ち込む「ダブルの縮小」に見舞われるこの国は一体どうすればいいのか?
瀬戸際の日本にこれから起きる大変化を詳細かつ大胆に描きつつ、「戦略的に縮む」という成長モデルの手順を深掘りし、「未来のトリセツ」として具体的に示す。

「未来の年表 業界大変化」河合雅司、講談社現代新書、講談社

こちらは、すでに有名となっている「未来の年表」シリーズの第5弾ということです。
まず、第1部として、いくつかの業界を挙げて今後どうなるかを具体的に記載します。
第2部としては、全方面に関係する10の解決策を挙げてくださっています。

スタンスとしては、少子化をどう食い止めるか、という視点ではなく、人口が減ることはほぼ確定とした上で、具体的にどうなるかということを書いた本ですので、注意が必要です。

河合雅司さん 来歴

1963年、名古屋市生まれの作家・ジャーナリスト。人口減少対策総合研究所理事長、高知大学客員教授、大正大学客員教授、産経新聞社客員論説委員のほか、厚労省や人事院など政府の有識者会議委員も務める。中央大学卒業。2014年の「ファイザー医学記事賞」大賞をはじめ受賞多数。主な著書にはベストセラーの『未来の年表』『未来の年表2』『未来の地図帳』『未来のドリル』(いずれも講談社現代新書)のほか、『日本の少子化 百年の迷走』(新潮選書)などがある。

「未来の年表 業界大変化」河合雅司、講談社現代新書、講談社

感想

感想① とにかく不便になることを覚悟せよ

この本では、今後人口減少に伴って起こる可能性の高い事柄を、業界ごとに至極具体的に書いてくれています。

本当にリアルなので、これは実際に起きるであろうと覚悟しないといけないな、という危機感を強く感じました。

特にインフラの不足は深刻で、今まで当たり前のようにあったものはより不便になるか、なくなるか、有料になると考えた方がよさそうです。

今までがむしろ便利すぎたと反省するとともに、日々のサービスに感謝の気持ちを持ちつつ、もし今後不便になったとしても、すぐ行政などにクレームを入れるような高齢者にはなりたくない!と肝に銘じました…。

あと、自分の身はある程度自分で守っていく意識も必要だと感じました。

感想② 発想の転換をせよ

今後日本が直面する将来は、これまで経験したことのない事態であり(歴史とは常にそういうものかもしれませんが)、将来世代が無事に生きられるようにするには、これまでのやり方は捨てないといけないという警鐘が鳴らされています。

人口が減ることが間違いないのなら、販売「数」に囚われるのはよくないでしょう。人口そのものが減っている以上、自然に減っていくものだからです。そうではなくて高くてもそれだけの価値のあるものを提供することで利益を確保する、といったような視点が必要になるだろう、ということです。

これまでのやり方をそのまま踏襲するのではなく、ひとつひとつ「これは今の時流に合っているのか?」と疑問を持つクセをつけることが必要なようです。

感想③ これらの処方箋をどう活かせばいいのか?

タイトルに業界大変化とあるように、第一部で挙げられている業種は具体的かつ一見限定的です。
ですので、ご自身の職業がその中にないとなかなか興味が湧かないかもしれませんが、特にインフラ系の業種については、日々の生活に直結してくる話ですので、自分事として読むことで、多少不便になったとしても、ある程度納得できる心の準備になると思います。

第2部については、解決策としてですが、経営者目線の解決策もあるように感じますので、全部が全部すべての人が実践できるわけではないと思いますが、物によっては自身の仕事や行動に活かすことのできるものも多いです。

正直読んでいて希望が満ちる内容ではありませんが、目を背けずに、真摯に受け止めて、現実的な行動を取るために必読であると思いました。