平成初期の松っちゃんによるお笑い論 松本人志「「松本」の「遺書」」

この本を読んだきっかけ

小さい頃から、幾度となくダウンタウンさんには笑わせてもらってきました。
「ごっつええ感じ」のDVDは全部観ましたし、年末の「笑ってはいけない」シリーズでは、他の家族が紅白派のなか、私は「笑ってはいけない」を大爆笑しながら観、その笑い声がすごすぎて、家族が私の笑い声を聞いて笑うくらい。

特に松本さんは「すべらない話」や「IPPONグランプリ」の企画や、賞レースの審査員もたくさん引き受けているなど、常にお笑い界全体を盛り上げようという意識を感じて、尊敬しています。

最近お笑い本をいろいろと読む中で、松本さんの著作も読んでみたい!と思うようになり、こちらを購入しました。

概要

「人間、コンプレックスがないとあかん!」と公言し、ストイックな生き方を実践する著者-お笑いに魂を売った男の、人と時代を見据える眼力は鋭く、語りには毒がある。「反論も悪口も大歓迎する、正々堂々と来てみやがれ」と刺激的に言い放った、超ベストセラー『遺書』+『松本』、待望の文庫化。

「「松本」の「遺書」」松本人志、朝日文庫、朝日新聞出版

この本は、1993年7月から1995年7月までの約2年にわたり、松本さんが「週刊朝日」で連載したコラムをまとめた単行本「遺書」「松本」をまとめて1冊にまとめて文庫化したものです。

約30年前のコラムになりますので、若かりし頃の松っちゃんの尖った言説が存分に味わえます。

感想

感想①コラムをまとめたものなので読みやすい

上にも書いたように、この本は「週刊朝日」での連載をまとめたものになりますので、ひとつひとつは非常に短く、読みやすいです。1編につき文庫で2~3ページ程度です。
また、これは個人的にとても嬉しかったのですが、コラム1つにつき松本さんの手書きイラスト入り!
これがまた味があってかわいい絵なのです。さらば森田さんもそうでしたが、芸人さんてフリップ芸の練習等のために絵を練習してます??

あと、この本では数ページおきに字の色が変わります。こういう本は初めて見ました。

感想②今書いたら物議を醸しそうな内容も…(汗) でもその内容には納得

この本では、日ごろ仕事をするなかで松本さんが疑問に感じたり、おかしいと思ったことに対して吠える、という内容が大半を占めます。その中には、「女性はコメディアンに向いていない」や、「自分はスポーツが嫌い」など、リアルタイムでテレビで言うと色々言われてしまいそうな内容も…でも、その内容についてはひとつひとつ理由がちゃんと示されていますし、少なくとも私は納得できるものでした。執筆時の時代性もあると思いますが、こういった正直な意見も知ることができる点でこの本はとても貴重だと思います。

感想③松本人志のお笑い論を垣間見ることができる

この本を読んで感動したのは、いかに松本さんがお笑いというものが好きで、芸人という立場、自分のおもしろさについてプライドを持ってやっているか、ということです。
「お笑いが世の中で一番の仕事」「自分の笑いがわからないやつは頭が悪いやつ」と堂々と言い放つ姿はほんとにかっこいい。

普段テレビで観る松本さんからは、直接お笑い論てなかなか聞けませんし、本人もあえて語らないのだと思いますが、ここでは松本さんのお笑いについての考え方が色々と示されていて、非常に参考になります。
たとえば「客に媚びない」「面白い奴の条件はネクラ・貧乏・女好き」「誰かの弟子になったり、目指したりするな」「お笑い界の先を見て動け」など。信者過ぎて申し訳ありませんが、私は全部納得でした。

感想④意外な過去や、浜ちゃんへの相方愛がグッとくる

恥ずかしながら、私は松本さんが子供の頃いじめられっ子だったことをこの本で初めて知りました。
あんなに面白い人は、ずっと人気者だったのではないかと思っていました。でも、そういった自信のない時代があったからこそ、反骨心で笑いに集中できる、ということなのかもしれません。
以前どこかの番組で松本さんが「コントは哀愁」と言っていたのですが、私はこれがすごく心に残っていて、お笑い全体においても、どこか生きることの哀しさみたいなものを感じる気持ちが大事なのではないかと思っています。

あと、グッと来たのは、相方の浜田さんをとても褒めているところ。
普段はああやっていじったりしますし、仲がいいときばかりではなかったかもしれませんが、小学生の時からの知り合い(!)ということもあり、文章からにじみ出る相方愛が本当にほほえましくて、これからもずっと「ダウンタウン」でやっていってほしいなぁ、と1ファンとしては切に願う次第です。

これからも応援し続けます!

芸人さんて、基本テレビなどではおもしろおかしいことをしているものですから、「お笑いとは…」と真面目に語る場面をみることってないですよね。そういった意味で、芸人さんの書く本というのは非常に貴重なものだなとあらためて感じました。

個人的にはずっとダウンタウンのファンですし、お笑い界での影響力はトップクラスだと思っているので、これからも変な事件などに巻き込まれることなく、健康でがんばってほしいなと思います。

とても面白くて読みやすい本ですので、おすすめです!