女性による女性のためのマッサージ探訪記 ジェーン・スー「揉まれて、ゆるんで、癒されて 今夜もカネで解決だ」

健康になりたい

この本を読んだきっかけ

社会人になってから、あちこち酷く凝るようになりました。もみほぐしに通うようになり、その技術に感動して、自分もセラピストになりたいとすら思うようになりました。

そんなこともあって、常日頃からマッサージ関連の本を検索していたところヒットしたのがこちら。
女性によるマッサージ通いのエッセイ、しかも今大活躍されているジェーン・スーさんの作品とあっては、即買いでした。ジェーン・スーさん、以前から気になっていたのですが、今回がお初です。

あらすじ

リラクゼーションサロンは、疲れきった女の体と心を癒す「野戦病院」みたいなもの。超絶技巧のお手軽アジア系マッサージからセレブ御用達の高級ヘッドスパ専門店まで。揉まれながら考えた、女性が働くこと、癒されること。読むと心のコリがふっとぶマッサージ放浪記!

「揉まれて、ゆるんで、癒されて 今夜もカネで解決だ」ジェーン・スー、朝日文庫、朝日新聞出版

本作品には60を超えるリラクゼーションサロン体験を中心とした“癒し体験”が収録されています。大きく3章に分かれており、何で分かれているかというと、ズバリ値段。プチプラ、平均的な価格、高額の3種類です。しかも、ご丁寧にすべてに何分間何円と、金額まで載せてくださっています!

ただ、惜しむらくは、店の名前が明確に書いていないこと。色々な方面に配慮してのことだと思いますが、そういったことですので、具体的な店をこの本で見つけようとするのはちょっと違いますので、お断りしておきます!

ジェーン・スーさん 来歴

1973年東京生まれの日本人。作詞家、コラムニスト、ラジオパーソナリティ。TBSラジオ「ジェーン・スー 生活は踊る」のMCを務める。2015年『貴様いつまで女子でいるつもりだ問題』で第31回講談社エッセイ賞を受賞。著書に、『私たちがプロポーズされないのには、101の理由があってだな』『女の甲冑、着たり脱いだり毎日が戦なり。』『生きるとか死ぬとか父親とか』『これでもいいのだ』『ひとまず上出来』『きれいになりたい気がしてきた』『おつかれ、今日の私。』『闘いの庭 咲く女 彼女がそこにいる理由』、対談集に『私がオバさんになったよ』『女らしさは誰のため?』など。

「揉まれて、ゆるんで、癒されて 今夜もカネで解決だ」ジェーン・スー、朝日文庫、朝日新聞出版

女子的には非常に刺さるタイトルの本を多数お書きになっているジェーン・スーさん。
お名前からして外国人かと長らく思っていましたが、日本の方なんですね。

感想

感想①癒しの種類を知ることができてためになる!

まず、取り上げられているマッサージ店のバラエティ豊かさに驚かさせられます。ジェーン・スーさん、本当に色んなマッサージに通っていらっしゃる!!中にはバッティングセンターやマッサージチェアなどの変わり種もあり、読んでいて楽しい。

私は超一般的な「もみほぐし」しか知らなかったのですが、よもぎ蒸し、ドイツ式フットマッサージ、生姜桶、ロミロミ、ホットストーン、中国系マッサージ、ストレッチ系マッサージ、スウェディッシュマッサージ…とにかくありとあらゆる癒しのカタログとなっており気になったものは「これ、行ってみたい!」と早速お店を検索したりしました。自分に合いそうなマッサージを考えるのも楽しいです。

感想②読みやすく、面白い

とにかく一編が短い&おもしろおかしく書いてくださっているので、どんどん読み進めてしまいました。

個人的に、今読まれる文章というのは①短いこと②笑えること③ためになること が大事だと思っており、ジェーン・スーさんはまさしく今求められているかたちの文章を提供してくれる書き手さんなんだなと感じました。

また、マッサージという、ある意味狭いカテゴリーの中でこれだけ多種多様な切り口から文章が書ける、ジェーン・スーさんの観察眼や着眼点の鋭さには脱帽でした。

人気なのが大納得です。また他の著作も読みたいと思いました。

感想③女性もマッサージに通っていいんだと安心した

女性がマッサージに通っていることをメインに据えた本を、私は初めて見ました。
私もよくもみほぐしやエステには行っているものの、やはり値段はそれなりにしますし、「たかがデスクワークごときで肩が凝ったからって、こんなにお金使って、贅沢だ…」と思ってしまい、実世界ではなかなか話題に出せない自分がいました。

ところが、ジェーン・スーさんは、「女性にとってリラクゼーションサロンは野戦病院みたいなもの!働く以上、癒しは絶対に必要!金で解決してよし!」と堂々と言い放ってくれました。これがほんとにありがたかった。

そうですよね、確かに働くことはストレスですし、体も凝ります。疲れていたら、いいパフォーマンスもできません。自分で稼いでいるんだし、マッサージにお金を使っていいんだ!と自信をいただきました。

とはいえ、私としては、専業主婦の方にも、時々マッサージに通えるくらいの経済的余裕がある世の中であってほしいなと思います。

女性がマッサージに行くということ

この本では、男性の性風俗との類似点などを挙げたりはしていますが、直接的に怖い話はありませんでした。

ただ、実は私はマッサージ店で男性セラピストから少し怪しい施術をされたことがあり、大変怖い思いをしたことがあります。女性がマッサージに行くということは、残念ながら多少の危険がつきまとうものだと思っています。

ですので、口コミや、店の雰囲気、セラピストは女性を指名するなど、身を守る意識も多少は必要かと思います(私は夫と同じところに行くことで多少予防線を張ったりしています)。

そういった点を除けば、リラクゼーションはとても素晴らしいものですので、高いと思わず、必要経費と思って、ぜひ行ってもらいたいですし、この本は背中を押してくれると思います。おすすめです!