これを読んでおけば安心!なブックリスト
最近、「タイパ」という言葉があるそうですね。
タイムパフォーマンス(時間対効果)の略で、かかった時間に対する効果の程度を表すということで、この「タイパ」を意識した行動が増えているとか。
実は御多分に漏れず、私もその類でして、YouTubeは基本倍速、割とネタバレを読んでしまいがち、といったところがあります。
読書についてもそうで、死ぬまでかかっても到底読み切れない本が溢れている世の中で、また、勤め人である以上読書に割ける時間も限られていますから、やはり意味のあるものから順番に読みたい、失敗したくない、という意識は強いです。
そんななか、「これだけは読んでおけ!」というリストがあれば、安心して読めるのになあ、と思い検索していたところ、素晴らしいものが見つかりました。
この本の趣旨
「必読書150」著:柄谷行人、浅田彰、岡崎乾二郎、奥泉光、島田雅彦、絓秀実、渡部直己、太田出版
この本は、近畿大学の教員を中心に集まった7名の知識人の方々が、大学生が読むべきブックリストを作ろうという趣旨で作成されたものです。
内容としては、
○選者6名による、選定の趣旨についての座談会
○ブックリスト
・人文社会科学50
・海外文学50
・日本文学50
○参考書籍70
○あとがき
という構成です。ブックリストは、選者の中から1名が紹介文を1つあたり1ページ付しています。
この本の素晴らしいと感じるところは、1つ目は選者が1名ではないこと、2つ目は分野が幅広いということ、3つ目としては、最初になぜこれらの本を読むべきなのかの座談会が収録されているところです。順を追って話します。
良い点① 選者が複数名いること
選者が1名でないということは、個人的な好みなどが排除されるので、独断となる可能性が低くなり、それだけ信頼度が上がります。おまけにこのリストの選者は7名もおられますから、信用度はかなり高いものとなっていると感じます。
良い点② 分野が幅広いこと
上に書いた通り、このリストは人文社会科学、海外文学、日本文学から各50冊ずつ入っています。
個人的に、この時点で相当広い分野を網羅しているように感じます。というのも、大学教授というのはそれぞれのご専門があるわけで、当然その分野は詳しいので、○○教についてとか、経済学についてとか、心理学についてとか、哲学についてとか、小さ目の分野でのブックリストは作れても、これだけ幅広く取り入れるのはそもそも大変なことだと思います。
ですが、この本は選者が複数いるため、広い範囲をカバーすることが可能となっています。ですので、このリストの150冊を読めば一般的な教養は身につくという安心感があります。
良い点③ このリストの本を読むことの意義を語る座談会が収録されている点
私が気に入っているのは、リストの前に、まず選者の方々がこのリストの本を読む意義、読んでいないことがいかにマズイか、ということを50ページほどに渡って語ってくれています。
私はこういった頭の良い方同士の対話を読むのがとても好きなのですが、こういった方々が「これくらい読んでないとお話しにならないよね~」と言ってくれると、「よし、読むぞ!!」というやる気というか、危機感が出て、モチベーションの維持に役立ちます。
私の場合
と、いうことでさぁ、読んでみよう!とリストを見て、愕然とします。
まあ難しい本だらけです。
たとえば、西田幾多郎哲学論集Ⅰ・Ⅱ・Ⅲが入っているのですが、これは私が卒論を書くために購入したものの、難しすぎて血反吐を吐くような気持で読んだものです。
1日1冊!なんて軽いノリで読めるようなものは少ないです。プルーストの「失われた時を求めて」なんて全14巻あります。これも1ですからね…。下手すると一生かけても理解できないのではないかと思うようなものもチラホラ。
また、さらにすごいのは現在入手困難なものも普通に入っていることです。ただ、本当に読むべき本は絶版だから読まなくていい、ということにはなりませんよね。敢えて入手困難なものを入れてくるところに、私はむしろ選者の方の気概を感じてしまいます。
ただ、紙の本はなくても電子書籍があったり、青空文庫(著作権の切れた作品を無料でネットで公開しているもの)にはあったり、本当に入手困難なものは少ないようです。
私的には、絶版でないものすら到底読み切れる自信がないので、いつかこれらが復刊するまでに他を全て読み切っていればいいや、というふうにポジティブにとらえています笑。
目指せ150冊読破
私は一応哲学科だったため、多少読んだことがあるにしても、20冊くらいでした…(お恥ずかしい)。
やはり何を語るにしても、古典中の古典というのは知っておくべきですし、議論の基本となるものですから、残りはこれからの人生をかけて、少しずつ読み進めていきたいと思いますし、このブログでも経過報告をしていきたいと思っています!
ご興味を持たれた方は、私と一緒に挑戦してみませんか?