この本を読んだきっかけ
こちらを読んだきっかけですが、例によって「必読書150」に入っていたためです。
学生時代は世界史選択だったため、もちろん作者の名前も作品名も聞いたことがありましたが、今の今まで読んだことがありませんでした。リーダー論には縁がないと思っていたので(^^;
ですが、せっかく必読書150に入っていたことですし、読んでみよう!思い立ち、購入しました。
どの訳を読むべきか?
さて、「君主論」は超有名な作品ということもあり、複数の訳が出ています。
2023年3月現在では、これ以外もありますが、次の4冊が手に入りやすいようです。
- 岩波文庫版(河島英昭(訳)、1998年、1,111円(税込)※電子書籍あり)
- 中公文庫版(池田廉(訳)、解説 佐藤優、2018年、880円(税込)※電子書籍あり)
- 講談社学術文庫版(佐々木毅(訳)、2004年、880円(税込)※電子書籍あり)
- 光文社古典新訳文庫版(森川辰文(訳)、2017年、946円(税込)※電子書籍あり)
岩波文庫好きの私としては、普段であれば岩波文庫を選ぶところなのですが、ネット上の評判ですと中公文庫は新訳でかつ読みやすいという評判でしたので、今回は中公文庫をチョイスしました!
購入の際には、ご自身の好みに合ったものを選ぶとよいと思います。
マキアヴェリ 来歴
1469年生まれ。フィレンツェの政治思想家。少年時代より独学で古典教養を身につける。外交・内政・軍事の官僚政治家となり国内外で活躍、様々な型の君主と身近に接する機会を持つ。政変にともなって追放処分を受け、失意の日々に『君主論』を執筆、没後出版された。危機的状況を踏まえた激しい内容から権謀術数に長けた非道な思想家と呼ばれたが、19世紀になって、同時代のレオナルド・ダ・ヴィンチ同様人間を冷徹な目で観察し科学的に認識した人物として高く評価される。1527年没。
「君主論」マキアヴェリ、池田廉(訳)、中公文庫、中央公論新社
私は、これだけ今有名なので、重用されていたものと考えていましたが、失脚しているんですね。意外でした。
構成
私が読んだ中公文庫版では、本文は全体で210ページ程度で、26章に分かれています。
各章に詳細な注がついていますので、この分を抜くと全体としては2/3程度、140ページくらいの感覚でしたので、予想よりはかなり読みやすく感じました。
前半は君主国の成り立ち方による分類や、軍のことについての記載が多く、後半が君主としての心構えについての記述になっています。個人的には、後半の内容の方が、実生活にそのまま応用できそうに感じました。
感想
感想① どういうスタンスで読むべきか悩ましい
「この本を読んだきっかけ」の部分でも書きましたが、この本は君主に向けた統治論ですので、確かにリーダー論として、今リーダー的な地位にいる人、またはこれからなりたいと思っている人にとっては読むモチベーションがある本だと思うのですが、自分はまったくそういう人間でないので、途中で「うん、でも私リーダーとかにならんしなぁ」みたいな気持ちになってしまいました…笑
感想② すべての内容を現代に応用することができるのか
また、内容としてはまだまだ戦争があった時代の話ですので、そもそも国の成り立ち方によって治め方が異なるというような話は、よくよく読めば現代に応用できる部分はあると思いますが、なかなかそのまま当てはめるということは難しいように感じましたので、すべてを舐めるように読むというよりは、とりあえずは必要箇所をつまむような読み方でよいのではないか、と個人的には思いました。
感想③ そうはいっても、やはり画期的な作品
個人的には、大体において、割と当たり前のことを言っているように感じました。権謀術数と言われるほど衝撃的な内容は語っていない印象。
とはいっても、やはり内容の現実味のある、実践的なアドバイスは画期的だったと思います。こういう書物というのは、理想を追求するあまり絵にかいた餅的な内容になりがちですが、この本は「ずるいことも時には必要だよ」とか、「努力しても、運命によってうまくいかないこともあるよ」とはっきり言ってくれるところがよいです。
ただ、概念としての記載はありますが、具体的にどうするか、というところはあまり語られていないようですので、結局は君主の理解力、実行力によってしまうところが大きいのではないかと思いました。
色々言ってしまって申し訳なかったのですが、いろんな場所で名著としてあげられる「君主論」は、傍らに置いておいて損はないと思います。私も今後、リーダーとはどうあるべきか、ということを考えるときには読み返したいと思います!