この本を読んだきっかけ
私がこの本を読んだ理由はちょっと特殊でした。
この本が文庫化された2015年ごろだと思いますが、とあるブックカフェで何気なしに手に取ったところ、あまりの面白さにその場で一気読み!後にも先にもそんな本はありません。その後もずっと心に残っていたのですが、最近また読み返したくなり、ようやく購入しました。(スミマセン…)
あらすじ
入金要請の電話をかけると、お客様から罵声の嵐……。日本一ストレスフルな職場・督促コールセンターに配属された著者は、入社半年後には体重が10キロも減ってしまう。しかしある時、一念発起!気弱なOLがトホホな毎日を送りながらも、独自に編み出したノウハウで、年間2000億円の債権を回収するまでの実録。解説・佐藤優
「督促OL修業日記」榎本まみ、文春文庫、文藝春秋
現在では、こちらに続いて第二弾として「督促OL奮闘日記」、第三弾として「督促OL指導日記(文庫版タイトル)」が出版されています。
榎本さん、絵もご自身で書かれているとのことで、榎本さんらしいかわいらしい絵が癖になります。
榎本まみさん 来歴
新卒で信販会社に入社し支払延滞顧客への督促を行うコールセンターに配属される。多重債務者や支払困難顧客から怒鳴られながらお金を回収する日々の中、心を病んで辞めていく同僚を見て一念発起。気弱な性格でも言い負かされず回収できる独自のメソッドを開発、クレジットカードの回収部門にて300人のオペレーターを指示し、年間2000億円の債権を回収。現在もコールセンター専門誌で連載を持つなど、電話オペレーターの地位向上のため活動している。
「督促OL修業日記」榎本まみ、文春文庫、文藝春秋
督促やお金に関する4コマを描いたブログ「督促OLの回収4コマブログ」はアメーバブログの4コマランキング1位の人気ブログに。
お仕事柄、当然ながら個人情報は相当隠れていますね。非常にリアル。
この本は2015年出版と、だいぶ経っていたため、ブログの状況はどうなのか見てみたところ、筆者の榎本さん、最近まで離婚係争をしており、相当苦労されたそう…。
心身のダメージが心配ですし、これまでこんなに大変な目にあったのだから、幸せになっていただきたいです…。
感想
感想①とにかく面白い、読みやすい
この本は本文で250ページほどですが、細かく段落が分かれていたり、四コマが入っていたりしていて、とにかく読みやすいです。読まされてる感がまったくありません。
また、気の弱い榎本さんが督促のコールセンターに配属になってからの紆余曲折が順を追っていきいきと描かれているため、自分も一緒に成長するような気持ちで没頭して読めてしまいます。
感想②どんな仕事にも通じるノウハウ満載
「でも、私督促の仕事してるわけじゃないし」
と思った方!!
確かに、タイトルからして、督促のコールセンターというのは非常にニッチな業種であり、この仕事についている人は少ないと思います。
ですが、これを「交渉」と捉えると、どんな立場の人にも応用のできるテクニックが詰まっていますので、誰が読んでも勉強になる話だと思います。
榎本さんが苦しみながら掴んできたノウハウは、どんな啓発本よりも説得力がありました。
感想③筆者の優しさ、誠実さが滲み出る文章
何よりこの本が素敵なところは、筆者の榎本さんがとにかく誠実で、あたたかい人柄が滲み出ているところです。
こんなに殺伐とした仕事であるにも関わらず、お客様にできる限り気持ちよく支払ってもらえるように心を砕く姿はいじらしくて、「がんばれ、がんばれ!」と応援したくなります。
お客様のために、辞めていった同僚のために、ひいては会社のために、まっすぐ向き合う榎本さんの姿勢は、すがすがしく、勇気をもらえます。
仕事が苦しいこの時期におすすめ
この本は私が紹介するまでもなく有名な本だと思いますが、社会人数年目の時に読んで、今また再読しても私自身非常に励まされた本ですので、新年度が始まって色々悩んでいる新社会人の方、すでに働いている方にも、超オススメします!